ハッカソンから始まった長期インターン。その出会いが変えた就活観とは?
2025.01.27

水野航太さん
今回お話を伺ったのは、芝浦工業大学大学院で量子コンピュータに用いられる量子アルゴリズムについて研究しながら、株式会社スタディストで長期インターンとして活躍する水野航太さん。 大学では情報工学を専攻しつつ、「個人開発だけではもの足りない。実際のチーム開発を経験してみたい」という思いからスタディストにジョイン。CREグループ(CRE:顧客信頼性エンジニアリング)で日々お客様の不満や不安を解消する機能改善に携わっています。 実際にインターンを体験するなかで見えてきたやりがいや就活観の変化とは? 「インターンから始まるキャリア」の可能性と、そこから広がるエンジニアとしての未来に迫ります。
ものづくり好きの少年が大学入学後にプログラミングにハマった。
ーープログラミングを始めたきっかけは?
本格的にプログラミングを学び始めたのは、大学入学後です。高校の授業でHTMLやCSSはちょっとだけ触ったことがありましたが、当時はそこまで興味を持てず……。最初は「情報系ってかっこいいな」ぐらいの憧れで学科を選びました。
でも実際にコードを書いてみると、自分の書いたプログラムがちゃんと動くこと自体が楽しくて。さらに「それを誰かの役に立つ形で世に出せる」っていうのが面白いなと思うようになりました。
自分の人生を振り返ってみると、子供の頃からLEGOで自動販売機やガチャガチャなどの仕組みのあるマシンを作ることが趣味で、それをYouTubeに投稿したりしていました。元々、ものづくりが好きだったのだと思います。
個人開発の殻を破るため、実務型インターンを探す。
ーーインターンを探した経緯を教えてください。
大学の授業課題や自主的なアプリ作りをしていました。Reactで何か作ってみたり、Web系の技術をキャッチアップしながら小さなサービスを作ったり。ただ、一人でやっていると実務レベルのチーム開発を経験できないんですよね。ちょっと物足りない気持ちが常にありました。そこで「サマーインターンとか長期インターンに参加したい」と思って、複数の企業に目を向けたんです。
そんな中で、Progateハッカソンに参加したとき、スタディストのエンジニアの方に開発やキャリアに対してアドバイスをいただく機会がありました。そのときにマニュアル作成支援というプロダクトがあることを初めて知りました。
僕自身、以前のアルバイトで「不親切なマニュアル」で苦労した経験があったので、サービス内容にすごく共感できたんです。「あ、これなら自分のコードで誰かの“困った”を解決できるかもしれない」と思って、インターンの話も聞きました。
スタディストではVue.jsやRuby on Railsを使っていて、どちらもまったく未経験ではなかったものの、がっつり触ったことはありませんでした。でも逆に、新しい技術が学べそうだなと。インターン生にも実務をやらせてもらえると伺ったのも魅力的でした。
スタディストの「伝えることを、もっと簡単に。」というミッションに強く共感して、開発力を伸ばすためのチャレンジになると思って、スタディストのインターンに応募しました。
インターン初日から実務の流れを経験。小さなタスクでも大きな学びがあった。
ーーインターンとして最初の仕事はどんなものでしたか?
最初にやったのは、CSVファイルのカラム名を修正するタスクでした。ほんの数行の修正だったので「そんなに難しくなさそうだな」と思ったんですが、そこからが勉強になりました。
自分でコードを書き、プルリクを出し、エンジニアの先輩にレビューしてもらい、QAのテストを受けてリリース……と、一連の実務フローを丸ごと体験できるのがすごく新鮮だったし、「こんなに丁寧に何度もチェックするんだ」と驚いて。
大学や個人開発だと「書いて動けばOK」になりがちですが、実際のサービスでリリースするまでには多くのステップがあるんだと肌で感じました。「一度に大きく機能を変えると、ユーザーが混乱する可能性がある」という顧客視点の考え方も学べて、大きな学びになりました。
CREグループで顧客視点を鍛える。リリース後の評価がやりがいに。
ーー所属しているチームについて教えてください。
開発本部 Teachme Bizエンジニアリング部 CREグループに所属しています。
CREとは、Customer Reliability Engineer(顧客信頼性エンジニア)の略で、要はお客様が抱える疑問や要望に対して技術面から改善策を届けるチームです。たとえば「細かいUIのここを直してほしい」「この機能が分かりづらい」などの声が上がると、「じゃあどう変えれば課題が解決するのか」を考えて、小さな機能追加や表示改善をどんどん実装しています。
要望は小さなUI調整のこともあれば、大きめな機能追加のこともある。要件定義からエンジニアリングの立案、デザイナーさんとのやり取りまで幅広くやらせてもらってます。
機能をリリースしたときは、サポートの方やエンジニアから「助かる!」って言ってもらえる瞬間がめちゃくちゃうれしいし、日々のモチベーションになっています。
ーー実際に手を動かすだけでなく、改善提案もしているのですか?
そうですね。最初のうちは「これやってくれる?」とタスクが振られる形でしたが、慣れてきたら「この表示、こう直したらもっと良くなるのでは?」「こんな機能を足したらもっと良くなるんじゃないか」といった提案もさせてもらっています。しっかり意見を聞いてくれるので、インターンの立場でも1人の開発メンバーとして扱ってもらえていると感じますね。
CREチームでは毎朝ミーティングを行い、タスクの進捗を確認したり、不明点の共有をしたりしています。メンバー同士で積極的に議論したり、サポートし合う環境が整っているんです。上長とも、週に1回 1on1をやっていて、業務上の不安や雇用契約の話などの相談に乗っていただいています。
スタディストはフルリモートなんですが、ツールを活用して積極的なコミュニケーションが取れていると思います。
研修とメンターの存在で未経験技術もキャッチアップ。「ペアプロ」が視野を広げてくれた。
ーーインターンとしての研修や教育はどんなふうに進むのでしょうか?
まず、インターンとして入社する前に「この書籍やサイトが良いよ」と業務を行うにあたって参考になるものを先輩が案内してくれたり、書籍代も経費で出してくれたりと、とにかく入社に対する敷居を下げてくれる感じでした。「経験のないフレームワークだけど大丈夫かな」という不安を取り除くことができて有り難かったですね。
入社後は自社のサービス『Teachme Biz』で研修コンテンツを配信していて、環境構築の手順や社内ルールが細かくドキュメント化されていて、それを元に学ぶことができました。わからないことはSlackで常に質問できる環境があって、エンジニア以外の人も気軽に答えてくれるオープンな雰囲気です。
あと、ペアプログラミングを何度かやらせてもらったのも大きかったですね。実装で手が止まった時も、メンターが画面共有でサポートしてくれて心強かったです。
わからないところを自分でネット検索して詰まったとしても、メンターが「ここはこうやって進めるといいよ」とフォローしてくれるので、学習コストがぐんと下がりました。やっぱり独学と比べて格段に学びの進みが早いように感じます。
ーーインターンをしていて、楽しい!と感じる瞬間はありますか?
僕にとっては、自分の開発したものに対してフィードバックをもらって、それを修正して、またフィードバックをもらって…というプロセスがすべて楽しいんです。なので、全体的に楽しく業務を行うことができています。
インターン参加前は「CRE」という単語を聞いたことがなかったのですが、実際に業務を進めていったとき、チームの方から「水野さんはCREしてましたね!」とコメントをもらったことがあります。そのときは、社会で役立つ仕事としてのエンジニアのスタートに立てたのかな、と成長を感じることもできました。
「大企業がいい」から「自分が伸びられる環境がいい」へ。インターンが変えた就活観。
ーーインターンを始める前と今とで、就職観やキャリア観に変化はありましたか?
明確に変わりました。
正直、最初は「大企業の方が安定感あるし知名度もあるし……」と思っていたんです。でもスタディストのように数百人規模の会社だと、提案してから反映されるまでのスピード感や、業務の裁量の大きさが段違いなんですよね。
実際、インターンでも「どうしたらユーザーにとってベストか?」を自分で考えて提案し、それがリリースされて使われていくという経験を重ねて、開発がどんどん楽しくなっていきました。提案しやすいからこそ開発者としての成長も早い。
インターンを経験していなかったら、その価値に気づけなかったと思います。「自分が伸びられる環境」を重視するようになったのは、インターンでの実体験があったからこそですね。
とにかく行動あるのみ。インターンを検討する学生へのアドバイス
ーー最後に、同じようにインターンを考えている学生さんへアドバイスやメッセージをお願いします。
個人的におすすめなのはハッカソンへの参加ですね。僕もそこがきっかけでスタディストを知りましたし、チーム開発の流れを短期間で体験することができます。一歩踏み出すことで、企業のメンターさんとか、同世代のエンジニア仲間と繋がれるチャンスが広がると思います。
可能ならポートフォリオを作って公開するのもいいと思います。最初は小さくてもいいので、自分で何かサービスやアプリを作ってみて、興味を持ってくれた企業にアプローチする。“技術力が足りないかも”と不安でも、とりあえず動いてみると意外な縁が生まれるかもしれません。
また、どのインターンに応募するか決める際に、”プロダクトや会社のミッション/ビジョンに共感できるか”という視点を持つといいと思います。与えられた仕事をこなすだけでなく、自分から自発的に考えて実行することで成長できると思いますし、「会社のミッションに共感できる」からこそ、心の底からの意見が出てくると思います。
ちなみにスタディストでは、インターンに参加することで通常の選考フローが短縮される可能性もあります。僕の場合は、2ヶ月ほどインターンを続けた後に選考の案内をいただき、書類選考や一次面接などはなく、最終面接→オファー面談という流れでした。
こうした機会を得られたのも、ハッカソンに参加したり、思い切ってインターンに応募したりと行動を重ねた結果だと感じています。最初は不安でも、まずは行動することで道は開けます。何事にも積極的に挑戦してほしいと思います!
編集後記
大学院で量子情報工学を学びながら、スタディストで顧客信頼性エンジニアとして働く水野さん。インターンならではの実務経験を積むことで、顧客視点やチーム開発の流れを一挙に学べたといいます。
「個人開発の経験はあっても、現場での開発は知らない」という方こそ、インターンで新たな気づきを得られるはず。自分の書いたコードが実際に多くのユーザーに使われる瞬間は、エンジニアとしてのモチベーションと成長意欲をぐっと高めてくれます。
一度足を踏み出すと、会社選びやキャリアプランも大きく変わるかもしれません。水野さんの言葉をヒントに、ぜひ「インターンの扉」を叩いてみてくださいね!